てんかん情報センター

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閉経とてんかんについて

 一般的に、女性の方は閉経に際して体内のホルモンのバランスが変化し、骨密度が低下するといわれています。抗てんかん薬を内服している場合、酵素誘導薬といわれるカルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、プリミドンでは特に、薬の影響でさらに骨密度を低下させる可能性があります。骨密度が低下すると骨粗鬆症となり、容易な刺激で骨折します。したがって、てんかん発作でしゃがんだ時にしりもちをついたり、転倒したりした際などに骨折する可能性が高くなります。閉経の前後には、ホルモンのバランスの変化からてんかん発作の頻度が増える場合もあるため、特に注意が必要です。骨粗鬆症を予防するために、カルシウムやビタミンD、タンパク質を適切に摂取することや適度な日光浴や運動を実践すること、喫煙やアルコールおよびカフェインを多く含むコーヒーなどの飲料摂取を控えめにするなどといった、骨を強くする生活習慣を心がけることが大切です。
 また、てんかんに罹患している女性、特に側頭葉てんかんの方では、一般の方と比べて閉経の時期が早い場合があるとの報告があります。また発作頻度が多いほど、閉経の時期が早まるという研究結果もあります。
 閉経後に骨粗鬆症などを予防する目的でホルモン補充療法を受ける方もおられますが、てんかんのある女性では補うホルモン量に比例して発作が増えたという報告もありますので、ホルモン補充療法の実施に際しては慎重に適応を判断する必要があるでしょう。