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第2章 意識のある発作(単純部分発作あるいは焦点意識保持発作)

てんかん発作はほとんどの場合、時と場所を選ばずに突然起きます。道路を渡っている時や、お風呂に入っている時に発作が起きれば、危険にさらされることもあります。発作が予知できればどれほど助かることでしょう。

てんかんというと、意識を失い倒れるというイメージがありますが、今回お話しする「焦点意識保持発作(以前は単純部分発作と称していました)」は発作中意識を失わず、倒れることもあまりありませんので、後になって思い出すことができます。発作の前ぶれとして自覚されるので「前兆」と言われることもあります。例えば子供さんが、急におびえてお母さんのところへしがみついてきて発作を起こすのは、何か変だ、発作が起こりそうだと感じているからです。何か変だと感じた時から発作は始まっているのです。

症状にはさまざまなものがあります。

症状

1.運動症状

顔や手足のごく軽いけいれん

2.感覚症状・顔や手足のごく一部の異常な感覚(しびれる、チクチクする)

まぶしい
何か見える
いやな味がする
腐ったような臭いが鼻につく
変な音がする

3.自律神経症状・吐き気

胃が気持ち悪い
鳥肌がたつ

4.精神症状・まわりの様子が以前にも体験したことがあるように感じる

昔のある場面の記憶が思い浮かぶ
時計の音がすごく早く感じる
急に喋れなくなる
恐怖感
不安感

観察のポイント

患者さんによっては、前述のような症状が発作であることを気づかずにいる方もいます。身近にいる方は、発作時の表情やしぐさ、行動をよく観察することが大切です。

対応

発作中、意識を失うことはないので特別な処置は必要ありません。しかし、本人にとってはこのような症状は不安なことでしょう。訴えをよく聞いて、受け止めるように心がけましょう。意識の曇りを伴う発作(焦点意識減損発作あるいは複雑部分発作)に移行する場合については、次項で説明します。その場合は危険なものは片づけておくことが大切です。

(田代美奈)加筆