現在はまだ発売に至っていないお薬に対し、将来の使用を目指して効果や安全性を試験することを治験といい、そのような試験が行われている薬のことを治験薬といいます。治験薬が病気に対して十分効果があることが確認され、安全であることが分かった場合に市販薬として認められます(認可といいます)。このような治験薬のうち、静岡てんかん・神経医療センターにて現在治験を実施中の抗てんかん薬を紹介します。
・フェンフルラミン
セロトニン受容体など作用する抗てんかん薬です。もともとやせ薬として開発された経緯があります。レノックス・ガストー症候群およびドラべ症候群を対象に既に認可されていますが、1~35歳のCDKL5関連てんかんを対象に治験が実施されています。
・カンナビジオール
大麻由来の薬物ですが、精神作用や依存性はありません。1~65歳のドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症に伴うてんかんを対象に治験が実施されています(参加者募集は終了)。
・セノバメート
電位依存性Naチャネルの阻害に加えて、GABA受容体の調整作用も有する薬です。18~70歳の焦点てんかんおよび全般てんかんを対象に他剤との併用にて治験が実施されています(参加者募集は終了)
・ジアゼパム経鼻スプレー
てんかん重積の治療や熱性けいれんの予防薬として用いられるジアゼパムの液体を鼻腔内に噴霧することで、てんかん重積状態もしくは同状態に移行する恐れのある場合に使用します。対象は6~17歳の小児で、投与法が従来のジアゼパム坐剤よりも容易です(参加者募集は終了)。
・アルプラゾラム吸入
ジアゼパムと同じベンゾジアゼピン系の薬剤で、12歳以上のてんかん重積を対象に、口から吸入することで発作を止めることを期待できます(参加者募集は終了)
・シロリムス
細胞分裂に関与するタンパクの働きを阻害する物質で、免疫抑制剤の一種でもあります。2歳以上の限局性大脳皮質形成異常によるてんかんに対して治験が実施されています(参加者募集は終了)。
以上の薬剤のほかに、すでに市販されている薬剤の適応を拡大する(より年齢の小さい患者さんへの使用の許可を得る、他の症候群の患者さんへの使用の許可を得るなど)ための治験なども行われています。
病院により実施している治験内容は異なります。治験に参加をご検討される方は主治医の先生とご相談ください。