当院の特徴
質の高いてんかん診療
てんかんは正確な診断が大事です
てんかんという病気は患者さんごとに症状が異なり、また、その症状は一時的で、病院を受診するころには症状が消えていることが多く、診断が難しい病気です。脳波検査が行われますが、脳波を読むには専門的な訓練が必要なため、検査を行っても診断に結びつかないことがあります。こうした理由で、てんかんが正確に診断されなかったり、てんかんでないのにてんかんと間違われたりすることはよくあります。
当院では十分な問診と適切な検査により、てんかんかどうかの診断を正確に行っています。初診外来で診断できない場合には、入院での長時間ビデオ脳波モニタリング検査を行って初めて診断できることもあります。診断のためだけに入院するのですか?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、意識を失う発作がある場合、脳の病気かどうかを確実に診断して治療を決めることは大切なことと考えます。
日本最大の包括的てんかんセンターです
当院は長年てんかん診療に従事してきており、現在日本で最も患者数が多いてんかんセンターです。在籍するてんかん専門医数も日本最多で、その経験を生かして適切な診療を心掛けています。
当院には小児科、脳神経内科、脳神経外科、精神科とてんかんに関連する全ての科の医師がそろっております。さらに、てんかんに精通した看護師や心理士、リハビリスタッフもおり、最適な検査と治療を行う体制が整っています。具体的には、小児期特有の疾患の治療や発達の支援、成人や高齢者てんかんの治療、てんかんに対する外科的治療、精神面・社会面への介入などの包括的な評価や支援が可能です。
てんかんに関連したリハビリテーションや就労訓練も充実しており、患者さんの希望に合わせた治療のゴールを目指します。
外来や入院で様々な相談ができます
てんかんの治療の目標は患者さんの生活の質の向上であり、その意味で、包括的な診療が大事と考えています。つまり、検査や治療だけでなく、就労や結婚・妊娠の相談、精神的不安など、患者さんごとに異なる困り事をお聞きして対策を考えていきます。そのために当院では多職種による包括的な支援を心がけています。外来だけでは対応が難しい場合には、入院していただいて検査を行った上で、相談することも出来ます。
長期入院も可能です
当院では検査やお薬の調整目的に長期の入院を行うことも可能です。総合病院では短期間の入院が一般的ですので、検査が十分できなかったり、お薬の調節が終わらなかったりすることがあると思います。当院では検査や治療をしっかりと行うため、長期入院も可能になっております。期間は患者さんの予定に合わせて調整します。治療がうまくいかず、入院でしっかり検査と治療をしたいという希望がある場合には、当院へご相談いただければと思います。
紹介状なしでも外来受診が可能です
当院は専門病院ですが、紹介状なしでも初診外来を予約することができます。かかりつけの先生からこれまでの経緯を頂くことで、より適切にアドバイスできますので、紹介状はあったほうが望ましいのですが、それが難しい場合には紹介状なしでも予約できますのでご相談ください。
てんかんの外科治療
どのような方がてんかんの手術(外科治療)を受けているか
てんかんの手術(外科治療)のおおまかな適応基準は以下のように考えています。
- 脳の中の限られた場所から発作が起こっていること
- 薬で発作がおさえられない状態が続いていること
- 発作がよくなれば、生活の質(QOL)がよくなると期待できること
- 手術による大きな後遺症がないと予測されること
手術を検討するタイミング
最初の1-2種類のお薬で治療がうまくいかない場合には診断の見直しに加え、外科治療の可能性について検討すべきです。
当院の外科治療の特徴
~患者さんの負担を出来るだけ減らして発作をなくす手術を目指しています~
- 徹底した手術前検査を行うことによって根治術(てんかんの原因となる部分を切除して発作をなくす手術)が可能となり、発作がなくなった方が多くいらっしゃいます。
- 侵襲的な頭蓋内脳波検査(頭の中に電極を埋め込んで脳波検査を行うこと)は必要な患者さんにのみ行い、大半の方では頭蓋内脳波を行わずに手術を行うことが出来ています。
- 包括医療を重視しています。
しっかりと手術前検査(術前評価)を行っています
手術前の検査入院で、ビデオ脳波同時記録、脳の画像診断(MRI, PETなど)、神経心理検査などを行ないます。また、精神・心理学的な評価や、患者さんの生活背景を把握することも重要です。
最も大切なことは、病気の経過、発作の症状・脳波から発作の原因となっている部位を推定することです。そのうえで精密なMRIやPET検査を行い、てんかんの原因となっている病変を徹底的に探します。患者さんによっては発作時の脳血流検査(SPECT検査)を行い、発作に関与している部位を調べます。てんかんに関係する検査は、脳波検査や各種の画像検査がありますが、誰が行っても同じ結果が得られるわけではなく、長年の経験と高度な技術を必要とします。当院は日本最大のてんかんセンターであり、古くからてんかんを専門としており、こうした検査をしっかりと行うことが出来ます。
手術前検査の結果を検討し、手術が安全に出来るか判断します。手術の適応ありと判断された患者さんでは、切除手術(根治術)に進む場合と、頭蓋内脳波記録を行う場合があります。頭蓋内脳波記録とは、脳の表面や内部に電極を置いて脳波を調べる検査で、患者さんの負担が大きいです。当院では以前は多くの患者さんで頭蓋内脳波記録を経て手術を行っていましたが、上に述べた手術前検査の進歩により、手術を行う大半の患者さんでは頭蓋内脳波検査を行うことなく手術に進んでいます。図1に外科治療の流れを示します。
なお、緊急での脳外科手術では救命のために後遺症は出ても仕方がないという状況がありますが、当院の待機的な手術では後遺症が出ない手術を十分計画して行いますのでご安心ください。
当院では発作を消失させる根治術を多く行っています
近年の年度ごとの手術数を表に示します。手術総数の横に根治術の数を示しています。
根治術とは、発作の消失を目指して行われる手術のことであり、選択的扁桃体海馬切除、側頭葉前部切除、側頭葉・側頭葉外の病巣切除、脳葉切除、多脳葉切除・離断、半球離断が含まれます。てんかんの手術(外科治療)が出来るかの判断においては、まず、このような根治術の可能性についてきちんと調べることが大切です。根治術が難しいと判断された場合には、患者さんによっては脳梁離断術や迷走神経刺激療法などの緩和術が行われます。緩和術とは発作を完全に止めるわけではないが、ケガの原因になりやすい発作をなくしたり、発作の数を減らしたりするために行う手術のことです。電極留置術とは、頭蓋内脳波を記録する検査のために頭蓋内に電極を埋め込む手術のことです。
当院のてんかん外科治療の特徴は、手術前の検査をしっかりと行うことにより根治術(発作をなくす手術)の割合が極めて高いこと、頭蓋内脳波を行う患者さんの割合が低いことです。これは、手術に進む大半の患者さんでは、手術前検査を十分行うことで、侵襲的な頭蓋内脳波検査を行うことなく手術が行えていることを示しています。
※表をタッチして左右に動かすことができます
年度 | 総数 | 根治術数 | 側頭葉 | 側頭葉外 | 多脳葉切除・離断 | 半球離断 | 脳梁離断 | 電極留置 | 電極抜去 | VNS留置 | VNS交換 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
選択的扁桃体海馬切除 | 側頭葉前部切除 | 病巣切除 | 病巣切除脳葉切除 | ||||||||||
2015 | 70 | 58 | 18 | 10 | 3 | 21 | 3 | 3 | 0 | 11 | 1 | 0 | 0 |
2016 | 70 | 52 | 17 | 8 | 6 | 17 | 1 | 3 | 3 | 12 | 3 | 0 | 0 |
2017 | 64 | 54 | 19 | 14 | 1 | 16 | 1 | 3 | 1 | 6 | 3 | 0 | 0 |
2018 | 72 | 57 | 12 | 8 | 6 | 26 | 3 | 2 | 5 | 5 | 1 | 4 | 0 |
2019 | 90 | 70 | 13 | 18 | 12 | 19 | 6 | 2 | 5 | 9 | 3 | 1 | 2 |
2020 | 84 | 70 | 16 | 16 | 6 | 25 | 4 | 3 | 4 | 8 | 0 | 2 | 0 |
2021 | 81 | 63 | 10 | 18 | 4 | 23 | 4 | 4 | 6 | 7 | 4 | 1 | 0 |
当院の外科治療の成績は良好です
2014年4月から2022年12月までに治療目的の開頭術を行った患者さんは491人でした。その中でてんかんの根治術を行ったのは455人、そのうちで最終手術から術後1年以上経過を追うことができた404人について、手術後に発作が良くなったかを調べました。手術時の患者さんの年齢は1~69歳と幅広い年齢層にわたっています。
術後に発作がどうなったかを円グラフで示します(図2)。全体の約7割の方で発作が完全に消失しました。約1割の方で発作が殆ど生じなくなり、残り2割の方はある程度改善~変化なしでした。これらは、世界的に有名なてんかんセンターと肩を並べる良好な成績であると考えています。
包括医療の重要性~患者さんQOL向上を目指しています~
てんかんの外科治療は発作を止めるだけでなく、それに伴う生活の質(QOL)の向上を目指すことが大事だと考えています。つまり、発作がよくなるかどうかだけではなく、患者さん個々の全体像をよくみて、外科治療によって患者さんの生活が良くなるかどうかを、手術の効果が期待したほどでなかった場合も想定して考えておく必要があります。当院では、脳外科医だけでなく、看護師、精神科医、臨床心理士、ソーシャルワーカー、作業療法士など、多職腫のチームによる包括医療をおこなっています。手術は決して治療のゴールではなく、その後も続く治療の中での大きな通過点として位置づけられるものです。患者さんによっては、手術後に発作が再発し、ショックで落ち込むこともあるかもしれません。また、手術で発作がなくなっても、自立した生活を送れるようになるためにはカウンセリングや就労支援が必要な方もあります。当院では、患者さんの心理・社会的な側面も含めて、手術後も継続的に支援が行なえるようにこころがけています。
MOSES・famoses
静岡てんかん・神経医療センターでMOSES/famosesに参加するには
MOSESは2月頃、5月頃、8月頃、10月頃の計4コースを実施しています。各コースの入院期間は約1ヵ月となっています。コース期間中には、評価、レクリエーション、運動が含まれます。famosesは6月頃(2泊3日)、10月頃(2泊3日)、12月頃(2週間)の計3コースを実施しています。いずれもMOSES/famoses参加のための費用は不要ですが(テキストは各自で購入)、実施期間中は静岡てんかん・神経医療センターに入院して頂きます。
MOSES・famosesに参加をご希望の場合
静岡てんかん・神経医療センターに受診されたことのない方
初診前相談へお電話ください。MOSES(モーゼス)/famoses(ファモーゼス)受講希望とお伝えください。(平日11時~13時に電話: 054-245-5446)
医療機関の方
地域医療連携室(電話: 054-246-1065)までご連絡ください。
静岡てんかん・神経医療センター通院中の方
外来スタッフに声をかけてください。
自分の病気、こどもの病気を正しく知るということ
自分やこどもが病気を抱えているとき、その病気について正しく知りたいという思いは強いでしょう。どうすれば治せるのか、生活への影響を小さくするにはどうすればよいのか、病気のある人にとっても、ご家族にとっても切実です。でも病気を正しく理解するのは簡単ではありません。人間のからだに関することはそもそもとても複雑ですし、病気にまつわるいろいろな思い、例えば不安やつらい体験などが、適切な情報を取り込む妨げとなっていることもあります。そこで、トレーニングを積んだ専門家と一緒にこの病気に関する気持ちを一度整理し、そのうえで大切な情報を確実に学習していく手法としてMOSESとfamosesが考え出されました。
MOSES・famosesとは?
MOSESは英語のプログラム名Modular service package epilepsy(和訳は「てんかんのモジュール学習プログラム」)の略号です。famosesは家族のMOSESという意味です。MOSESはてんかんのある大人を対象とし、famosesはてんかんのあるこどもとその親・家族を対象としています。
MOSESは1998年に,famosesは2005年にヨーロッパではじまり、世界の多くの国に広がりつつあります。日本では、MOSESが2012年より,famosesは2018年より当院で始まりました。
いずれのプログラムも、てんかんのある大人、こども、親・家族それぞれ数名~10名前後の小さなグループで行われます。複数名のトレーナー(専門職)のガイドのもとに他の参加者と意見を交わしつつ、テキスト(図1)を使用しながら学習を深めていきます。小さなグループですので、気兼ねなく経験を話し合ったり、わからないことを尋ねたりすることができます。こどもは遊びながら学んでいきます。
左から、成人用MOSES、こども用famoses、親と家族用famoses
成人用プログラム(MOSES)
MOSESプログラムは9つのセクションで成り立っています(表1)。グループで集まって、トレーナーの質問に答えたり、不安や困っていることを述べたり、あるいは意見を言ったり、他の人の意見に耳を傾けたりしながら、病気の診断や治療について、発作の誘因や回避方法について、資格や仕事の制限、支援制度、スポーツなどについても学習していきます。本来はそれぞれのセクションを30分~2時間くらいかけて学習しますが、グループのメンバーにより短くしたり長くしたりすることもできます。16歳以上であれば参加可能な内容です。
MOSESで学ぶことは単なる知識だけではありません。知識を消化して、自分のてんかんをよく理解し、ほかの人に説明できるようになること、つまり自分のてんかんのエキスパートになるとともに、その智恵を活かして、可能なかぎり制約の少ない生活を送ることができるようになることが目標なのです。
表.てんかんのある大人のためのMOSESプログラム
1.てんかんとともに生きる |
てんかんが引き起こす感情を受け止め、表現する。てんかんのより良い克服法を探る |
2.疫学 |
てんかんはまれな病気ではなく、誰にでも生じうる |
3.基礎知識 |
てんかんの原因、発作はどのように生じるのか、どのような種類があるのか |
4.診断 |
大切な検査(脳波、MRI など)とその意義、発作の記録 |
5.治療 |
治療の目的、治療の方法、治療に積極的にかかわること |
6.自己コントロール |
発作の誘因を知る、発作を回避する |
7.予後 |
発作が良くなるチャンス、薬の減量の可能性とリスク |
8.心理社会的側面 |
てんかんと生活、就業、免許、スポーツなど。自分のてんかんをどう説明するか |
9.てんかんのネットワーク |
支援やサポートの情報、自助グループなど |
こども用プログラム(famoses子ども用)
大人のMOSESの経験から、病気について正しく知っておくのはもっと若いうちからが良いという意見が多くあり、こども用のプログラムがつくられました。
7〜12 歳くらいのこども達数人が、トレーナーと一緒にバーチャルな船旅に出かけます。港から 6 つの島(岩の島,火山の島,宝の島,きのこの島,休暇の島,灯台の島)を巡り、みんなで協力しながらそれぞれの島に隠されたてんかんの秘密を解いていきます(図2、3)。てんかんに関する医学的知識の他、てんかんにより生じた嫌な経験・感情への対処の仕方、発作を表現すること、守らなければならない生活上のルール、自分のてんかんを人に説明する仕方などを、遊びながら学習します。すべての船旅を終わって港に帰り着くと、子どもたちは船長(これからの進路を自分で決める人)の資格をもらえます。
親と家族のためのプログラム(famoses親・家族用)
こどもに病気があるときには、親や家族が病気の管理や生活環境の整備に取り組む必要が生じます。6つのセクション(表2)に、てんかんのあるこどもをもつ親・家族が数名〜10名ほどのグループで、2 名のトレーナーとともに取り組みます。最初に学びの準備状態を皆でつくり、他の家族と経験を話し合いながら、病気に関する確かな知識を身につけていきます。こどものプログラムと内容が対応していますので、こどもがどのようなことを学んでいるのかを知ることができます。プログラムの後半は、こどもの病気を受容する親自身の心理的な過程や、子どもの発達への理解、きょうだいへの接し方、支援の求め方などの心理社会的な側面に重点が置かれています。
こどものプログラムにこどもが参加できない場合や、こどもの年齢がこどものプログラム対象からはずれる場合でも、親や家族のみが親と家族のためのプログラムに参加することは可能です。
1.出合い |
てんかんについての思いと感情 |
2.基礎知識 |
てんかんの頻度、原因、誘因、さまざまな発作とその対応 |
3.診断 |
病歴、診察、鑑別、今後どうなるのか? |
4.治療 |
薬物治療、薬物以外の治療 |
5.予後と発達 |
てんかんの経過、運動・認知・情緒・社会的発達 |
6.てんかんとともに生きる |
親・子・きょうだいの病気の体験、家庭内での取り組み、病気の管理 |
トレーナーになるには
トレーナーは、MOSES企画委員会(日本てんかん学会と日本てんかん協会が合同設置)が年に1〜2回主催するトレーナー研修セミナー(2日間)を受講しなければなりません。トレーナー教本というテキストに沿って、ロールプレイなどをしながらプログラムの実践方法を学びます。現在(2023年)までに約150名の専門職がMOSESトレーナー研修セミナーを、約80名の専門職がfamosesトレーナー研修セミナーを受講しています。トレーナーになるのは、医師、看護師、ソーシャルワーカー、心理師、作業療法士、療育指導員、保育士、教師などの専門職です。
MOSES/famosesの効果
海外では、MOSESの効果として、てんかんに関する知識の増加、てんかんへの対処能力の向上、発作頻度の減少、副作用の軽減が報告されています。また、famosesの親・家族に対する効果として,てんかんに関する知識の増加、病気への対処能力の改善、不安の軽減、子どもの自立への促し、親子の病気についての対話のきっかけとなったことなどが報告されています。
日本では、2014年〜2016年の2年間に静岡てんかん・神経医療センターでMOSESを受講した31名(男性21名,女性10名,平均31.5歳)を対象とし,MOSES直前とMOSES直後,6カ月後のてんかんの知識,てんかんへの適応(てんかんに関する主観的評価,生活の質,気分など)について調査した結果が報告されています。てんかんの知識がMOSES受講直前と比べて,直後,6カ月後とも増加し,てんかんへの適応がMOSES受講直前と比べて、直後、6カ月後とも改善していました。MOSESは参加者のてんかんに関する知識を増やすとともに、てんかんという病気を前向きに受け入れようとする心理的な変化をもたらしていました。
famosesについては、18名の親の評価として、てんかんの知識、こどもの自立への促し、児のてんかんへの親の対処能力が向上したことが示されています。こどものプログラムの参加者では、表情が明るくなった、自分の症状を周囲に伝えられるようになった、学校で自分の意見をはっきりと言えるようになったといった変化が、家族や援助者から報告されています。トレーナーの観察では、発作が生じることに対する不安を表現することができ、治療がうまくいったらもっと友達と遊びたい、自転車に乗りたいといった希望を表現するようになっていました。
MOSES/famosesについての詳しい情報
MOSES/famosesのホームページ http://mosesjapan.com があります。最新の情報や活動状況はそちらでご覧ください。テキストは書店で購入できます。こども用のテキストは通信販売になっています。
認知症疾患医療センター
認知症疾患医療センターとは
静岡市が指定する「認知症疾患医療センター(地域型)」において、認知症の鑑別診断、身体合併症や周辺症状への対応、専門医療相談等を実施するとともに、地域の保健医療・介護関係者等との連携の推進、人材の育成等を行うことにより、認知症の人が地域で安心して生活できるよう、地域における支援体制を構築していきます。
認知症疾患医療センターの業務内容
認知症疾患医療センターでは主に以下の業務を行っています。
専門医療相談の実施
認知症疾患医療センターに医療相談室を設置し、本人、家族、関係機関(地域包括支援センター、介護保険事業所等)からの認知症に関する医療相談に対応するとともに、状況に応じて、適切な医療機関等の紹介を行います。
認知症の診断と対応
認知症疾患医療センターでは、認知症の鑑別診断とともに、関係機関と情報の共有化を図り、医療・福祉・介護の支援に結び付けていきます。診断後は、ご本人のかかりつけ医と連携を図り、日常の診療はかかりつけ医が担当することが基本になります。
身体合併症・周辺症状への対応
認知症の人の身体合併症及び周辺症状に対応します。病状に応じて専門医療機関、一般病院や精神科病院等と緊密な連携を図り、地域全体で受け入れる体制をつくっていきます。
地域連携の推進
地域の医療機関、地域包括支援センター、市区町村、保健所・保健センター等の関係機関、家族、介護者との連携を図るため、ネットワークづくりに向けた検討を行っていきます。
専門医療、地域連携を支える人材の育成
認知症疾患医療センターの院内外において、専門的な知識・経験を有する医師・看護師の育成に努めていくとともに、認知症対応力の向上を図るための研修等に取り組んでいきます。
情報発信
認知症に関する正しい知識をご理解いただくための情報発信を行います。
受診について
認知症疾患医療センターを受診される方は、医療機関の紹介状が必要です。
物忘れ外来は、認知症疾患医療センターに統合されました。
認知症治療薬レカネマブの投与について
かかりつけ医の方へ
紹介に必要な書類は下記からダウンロードして下さい。
・連携シート ( PDF:125KB)
・外来初診予約依頼票(PDF版)( PDF:340KB)
・外来初診予約依頼票(Word版)( Word:60KB)
お問い合わせ
〒420-8688
静岡県静岡市葵区漆山886
独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター内 認知症疾患医療センター
電話 054-246-4608
相談時間:平日 9:00~17:00(土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)は除く)
認知症
当院には認知症疾患医療センターがあり、認知症の診断、治療を行っています。
認知症は、「家族、本人をよく知る人、医療関係者が、以前よりも明らかに認知機能が低下した」と懸念することで気づかれ、加えて「支払いができない、服薬管理ができない」などが明らかになると強く疑われます。
認知症の原因の2/3はアルツハイマー病で最も多く、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉型認知症、その他と続きます。
診断には、問診、家族などからの情報提供、身体の診察、神経心理検査、CT/MRIやSPECTなどの画像診断がまず行われます。これらで診断に至らない場合には精査入院が必要な場合があります。
レビー小体型認知症はパーキンソン症状や幻視があり、症状が多彩でなかなか診断がつかないこともあります。また、夢と現実の区別がつかなくなるといった症状も特徴的です。パーキンソン症状、幻視の検査や夜間に脳波をとるポリグラフ検査を行っています。
前頭側頭葉型認知症は、万引きをしてしまう、言葉の意味が分からなくなる、すらすら話せないなどの症状が組み合わされて出現します。反社会的行動から気づかれることも多く、注意が必要です。
近年、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)が注目されています。これは、年相応の物忘れで気づかれるのですが、悪化する場合は5~15%の方が認知症に移行しますので早い受診が重要です。
アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症に対するレカネマブ治療を行っています。
神経難病
神経難病とは、神経筋疾患のうち、指定難病に登録されているものを指しています。パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発神経炎、多発性硬化症や視神経脊髄炎、重症筋無力症、筋炎などが挙げられます。
神経難病で重要なのは、病歴聴取と神経学的診察です。この2つで病気の大まかな全体像をつかんで検査を進めていきます。
神経難病の検査には、CT/MRIなどの形態学的検査、SPECTによる血流検査、ドーパミンや交感神経の検査、筋電図などで神経や筋肉の働きを調べる電気生理学的検査、話し方や言葉の使い方を診る神経心理学的検査があります。病気の診断にはこれらを組み合わせて総合的に判断しています。
神経難病の治療は、それぞれの病態に応じた薬物療法、リハビリテーション療法が行われます。薬物療法の効果を最大化する工夫や、機能を最大限発揮できるようなリハビリテーション方法が開発され、実地に施行されています。