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創刊号 2002春 |
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目 次 |
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●創刊にあたって |
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●てんかんとはどんな病気? |
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●外来紹介 |
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●薬局だより |
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●脳波検査質問 |
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●編集後記 |
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●創刊にあたって |
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この病院は、てんかん、神経・筋疾患、重症心身障害を三本柱にして包括的治療を行うことを目的に、国によって作られた施設です。てんかんに関しては全国のてんかんをもつ人たちの治療の中心施設として位置づけられ、神経・筋疾患については東海北陸の基幹施設として、また重症心身障害については静岡県を中心にした施設として位置づけられています。
包括的治療とは、単に病気の薬物治療や外科治療のみだけでなく、医師、看護師、作業療法士、理学療法士、心理士、言語聴覚士、療育指導員、ソシアルワーカーなど多職種の人達が一体となって、病気をもつ人の生活をよりよくすることを目指した治療です。つまり、当院は、狭義の医療だけでなく、リハビリテーション、研究・研修を含めて三本柱の政策医療を行う専門病院です。先端的医療をモットーにして、日本一の脳波診断部門、脳磁図、CT・MRI・SPECTなど最先端の医療機器を備えています。
当院には、これらの最新の機器のみならず、優秀かつ経験豊かな医師をかかえています。てんかん治療には薬物治療に加えて、外科治療も行っています。既に500例を越すてんかん外科手術が行われました。今、病院はさらに飛躍するために改築、改修を行っています。2004年には全てが完成する予定です。しばらくご迷惑をかけますが、完成後にはかならず皆様の期待にそえる病院となると思います。(院長 八木
和一) |
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●てんかんとはどんな病気? |
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てんかんとは、「てんかん発作」を繰り返しおこす大脳の病気です。大脳は神経細胞のかたまりですが、その一部が周囲の神経細胞との調和を失い勝手に活動したり(部分てんかんの場合)、あるいは大脳の表面と深部の連絡が過敏だったり(全般てんかんの場合)するためにてんかん発作がおきます。つまり、てんかん発作は脳の神経細胞活動の異常から始まります。これに対して、「失神発作」は、脳に血液や酸素が充分届かないときに結果的に脳がうまく働かないためにおきますので、発作の始まりは脳の異常ではありません。このような区別には脳波検査が必要です。
だれでもてんかんの病気になるおそれがあります。実際によくある病気で約100名に1名の割合でみられ、慢性関節リウマチや糖尿病と同じくらいの割合です。多くの場合、一般の病院での治療で発作はよくなりますが、約2割の方で発作が簡単には止まらず、専門治療が必要です。当院では、26年間の経験と知識と最新鋭の機器を駆使して治療にあたっています。2002年4月1日現在、当センターで治療を受けたてんかんの方は23,900名です。
(外来医長 渡辺 雅子) |
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●外来紹介 |
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2001年10月1日に国立静岡病院と国立療養所静岡東病院を統合し、「国立療養所静岡神経医療センター」がスタートし、半年が過ぎました。
今回は、当センターのてんかん外来について紹介します。てんかん外来は、北は北海道から南は九州まで全国を診療圏として、乳幼児から成人まで幅広い年齢層の患者様に、高度な診断・治療を実施し、日本のてんかん医療の中心的機関となっています。
当センターを初めて受診される場合、まず医事課に電話で予約をしてください。受診日が決まると、問診票と受付案内をお送りします。
当日、保険証・紹介状を持参していただき、8時30分までに受付をして下さい。担当看護師がオリエンテーションをして、各検査(血液・尿検査、脳波、CT)後、担当医師の診察により診断がつき、治療方針の説明があります。診察後、しばしば患者様より、「じっくり話を聞いてもらってよかった」、「わかりやすく説明してもらってよかった」、「もっと早く受診すればよかった」などのご意見が聞かれます。
再診は、自動再来受付機で、月曜日から金曜日の8時15分から14時30分まで受けつけています。当日の外来担当医別に受付順に診察をします。脳波、MRI検査は原則として予約制で、再来患者様で発作がなく状態が落ち着いていると、抗てんかん薬の長期投与が可能な場合もあります。
「遠方でも3カ月毎の受診だから通院できる」、「待合室でも同じ障害をもった人たちだけなので、他の病院より安心できる」と言う声が聞かれます。今後もスタッフ一同が努力し、患者様が当センターを受診して本当に良かったと思われるような、サービスを提供できるように心がけていきたいと思っています。(外来婦長 斎藤
澄江) |
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●薬局だより |
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パーキンソンの治療薬
私たちの脳は、考えたり体全体をコントロールしたりする体の司令塔の役割をしています。これらの指令(情報伝達)は脳の中で作られる神経伝達物質によって行われています。パーキンソン病は中脳にある黒質の神経の変性により、黒質で作られる神経伝達物質の一つであるドーパミンが減少して起こる病気です。また、ドーパミンが減少してしまうと、もう一つの神経伝達物質であるアセチルコリンとのバランスが崩れ、アセチルコリンが相対的に多い状態になり、結果としてパーキンソン症状が出てきます。
薬の働きがわかると病気がもっと理解できるようになりますのでお話します。パーキンソン病治療薬はその働きの違いから、現在は以下の6つに分類できます。
L−ドーパ合剤(イーシードパール、マドパー、ネオドパストン、メネシットなど)
まず不足しているドーパミンを補う薬ですが、脳には「血液・脳関門」という「関所」があり、脳に有害なものが入らないようにチェックしています。残念ながらドーパミンはそのまま飲んでも脳には届きません。L−ドーパという化合物は脳内に入ることができ、その後ドーパミンに変わってドーパミンの受け皿である受容体に作用することができます。しかしL−ドーパは脳に入る前にも酵素により分解されその効力を失ってしまうものもあります。このため、その酵素を阻害する物質をいっしょにした薬がL−ドーパ合剤とよばれるものです。
ドーパミン受容体刺激薬(カバサール、ペルマックス、パーロデル、ドミン)
ドーパミンを受け止める場所である受容体を刺激してドーパミンの効果をあげる薬です。L−ドーパを長期、大量に服用していくと、反対にドーパミン受容体の働きが減弱したり、自らドーパミンが出せなくなったりして、不随意運動や症状の日内変動が強くなったりします。そのために、L−ドーパを減量したり、使用開始時期を遅らせるためにこれらは用いられています。
MAO−B阻害薬(エフピー)
MAO−Bとは主に脳内でドーパミンを分解する酵素で、これを阻害することによってドーパミンの減少を抑え作用時間を長くし、L−ドーパの減量にも有用です。またこの薬には併用禁忌(一緒に服用すると危険)の薬があります。主治医に必ず現在服用中のすべての薬を知らせるとともに、他の医療機関などで薬をもらう場合はこの薬を服用している旨を医師に伝えてください。
抗コリン薬(アーテン、アキネトンなど)
相対的に活動が高まっているアセチルコリンを使う神経細胞を抑えてバランスをとります。
塩酸アマンタジン(シンメトレル)
ドーパミンを使う細胞から、残ったドーパミンを放出させます。
ドロキシドパ(ドプス)
不足しているノルアドレナリンを補充する薬で、すくみ足、姿勢反射障害に有効です。
薬の組み合わせは症状によって異なります。薬をきちんと飲んでいただき、日常生活において良くなったこと、都合の悪いことを正確に医師に伝えてください。(薬剤科製剤主任 古屋
裕之)
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●脳波検査質問箱 |
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脳波検査について日頃疑問に思っていることに臨床検査技師がお答えします。
Q:脳波検査ってどういう検査ですか?
A:私たちが体を動かしたり考えたりする時には、脳の神経細胞が微弱な電気を発生しています。
その電気を脳波計で波形として肉眼的に見ることができるように記録したものが脳波検査です。
Q:どうして何回も検査を受けるのですか?
A:薬による治療効果や状態による変化を見るためです。外来では通常年1回の検査を受けていただきます。
Q:時間はどれくらいかかりますか?
A:起きている(覚醒)脳波が約20分、寝ている(睡眠)脳波が約20分、合計40〜50分程が目安です。
Q:どんなことをするのですか?
A:頭・耳たぶに電極を張り付け、ベッドに仰向けに寝てもらいます。技師の指示で目を開けた閉じたり、光の点滅を見たり、深呼吸などをしていただきます。
Q:脳波検査は痛いですか?
A:脳波検査は脳の電気活動を記録するもので、心電図と同じようなものです。痛みや危険を伴いません。
Q:検査前日に注意することは?
A:特にありませんがなるべく寝不足気味にして来院下さい。出来れば洗髪をし整髪料等は控えてください。
Q:眠れない場合は?
A:当院では眠れないときは睡眠剤を用います。後に少しふらついたりすることがありますので、付き添いの方との来院をお勧めします。
Q:どれくらいの電極を付けるのですか?
A:24個です。
Q:脳波で考えていることがわかりますか?
A:わかりませんので安心して受けてください
Q:どんな人が脳波検査をしているのですか?
A:臨床検査技師の免許を持ったやさしい技師たちです。男性5名、女性6名のベテラン技師たちです。
(研究検査科第一生理学主任 石原
礼子)
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●編集後記 |
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静岡東病院と静岡病院が統合されて半年がたちました。新しい病棟は完成しましたが、重心病棟新築・外来改修などこれからも工事が続いていきます。職員はそれぞれの立場で新しい病院を作ろうと頑張っています。職員のそんな思いと、患者さんたちと職員の距離が少しでも縮まるようにとの考えで、この新聞を作りました。病院の話題、新しい治療のことなどこれからも少しずつではありますが、掲載していく予定です。よろしくお願いいたします。(診療部長 溝口
功一) |
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