小児てんかん入院治療Q&A

Q1.上気道炎(感染症)の後にてんかん発作が発症、発作がよくなりません。良い治療はありませんか?

A1.免疫が介在するてんかんの可能性があります、精査-加療されることをお勧めします。

ラスムッセン症候群の臨床経過

・軽微な感染症の後に免疫因子(サイトカイン、細胞傷害性T細胞、抗体、他)が関与しててんかんが発症することがあります。

・よく知られているのは、ラスムッセン症候群というてんかんです。(高橋幸利、他、新薬と臨床、2017;66:684-689)

・てんかん発症後徐々に発作が増加し、持続性の発作が出る方もあります。MRIでは高信号病変と萎縮病変が現れます(図の)。

・髄液の中のグランザイムBなどのマーカーが診断に役立つことがあります。

・免疫修飾治療が有効で、発作、運動機能障害、認知機能障害を軽減できます。(Yukitoshi Takahashi, et al., Brain & Development, 2013; 35: 778-785.)

初診・直接入院の予約を希望される方はお電話下さい。
・医療関係者の方:地域医療連携室 054-246-4580
・ご本人・ご家族:予約センター 054-246-1065

Q2.急性脳炎脳症の後にてんかん発作が発症、抗てんかん薬が4種類となりましたが、発作が増加し、眠気が強く、通園できません。良い治療はありませんか?

A2.脳炎後てんかんの病態に合わせた薬物調整が有効なことがあります、精査-加療されることをお勧めします。

抗てんかん薬の脳移行のメカニズム

・脳炎脳症後のてんかんでは血液脳関門(図の)が脆弱になっていることがあります。(M M. Suriadi, Y Takahashi, et al., J Epileptologia, 2012; 20: 61-71)

・血液脳関門が脆弱になると、抗てんかん薬が通常以上に血液循環から中枢神経系に移行するようになり、血中濃度は正常範囲でも副作用が現れやすくなる場合があります。(Y Mogami, Y Takahashi, et al., Brain & Dev, 2012; 34: 496-503)

・髄液の中のAlbuminなどのマーカーが血液脳関門の病態診断に役立つことがあります。

・血液脳関門の状態を把握した上での慎重な薬物調整をお勧めします。(高橋幸利、他、臨床精神薬理、2018;21:741-749)

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Q3.低酸素性脳障害によるてんかんと運動・知的発達の遅れがあります、てんかん発作は月1回くらいですが、地元でリハビリの回数が少なく困っています、リハビリ主体の治療入院は可能ですか?

A3.可能です、てんかん治療と並行して、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、療育など、患者さんに合わせて計画いたします。

リハビリ主体の治療入院

・理学療法:7名のスタッフで週2回程度、移動運動機能を高めるための訓練を行っています。

・作業療法:5名のスタッフで週1回程度、上肢の機能を高めるための訓練を行っています。

・言語聴覚療法:3名のスタッフで週1回程度、嚥下障害や構音障害などの緩和のための訓練を行っています。

・療育:4名のスタッフで個別あるいは集団で知的発達を伸ばすための取り組みを、週2回程度行っています。

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Q4.てんかん発作は月1回くらいですが、学校でのいじめがあってから1年近く登校できていません、勉強を少しでも遅れないようにしてあげたいのですが。。。

A4.当センターには、隣接する静岡県立中央特別支援学校の院内学級があり、てんかん治療と並行して支援教育を受けていただけます。

院内学級

・小児てんかん病棟に入院する小・中学生を対象にして、当院内の教室で教育が行われます。

・1ヶ月以上の長期入院の方が対象となります。

・学校では一人一人の状態に合わせて、学習内容や学習形態を工夫して指導を行っています。

・自分の勉強を、自分のペースで進めます(上段の写真)。

・「風の森」ってどんなところ?風にあたっていい気持ち(下段の写真) 。

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Q5.娘は5歳にてんかんを発症、現在小学校6年生です。発作は年単位ですが、病気についてどのように理解しているのか?母として不安に思っています。病気と向かい合っていけるようにしてあげたいのですが。。。

A5.famoses(Modulares Schulungsprogramm Epilepsie für Familien)という、てんかんのある子どもとその親・家族のための学習プログラムを受けていただけます。

・子どものコースと、親と家族のコースに分かれています。

・子どものコースでは、子どもたちはバーチャルな船旅に出発します。船に乗り込み、ほかの子供たちと協力しながらさまざまな島を旅して、てんかんに関する多くのことを遊びながら発見していきます。

・親と家族のコースは、テキストとグループワークを通して、てんかんに関する基礎知識、診断、治療、予後と発達、病気との向き合い方などについて学習します。

・考え方を振り返り、子どもの自立への扉を開け、日常のなかで病気と向き合いより良い対応ができるようになることが目的です。

・HP:https://mosesjapan.com/fa/

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