瘢痕脳回を伴う後部皮質てんかんにおける外科治療の有効性
Usui, Mihara, Baba, et al., Epilepsia, 2008.
1. 研究成果のポイント
- 瘢痕脳回を伴う難治後部皮質てんかん10例における外科治療について報告した。
- 10例中5例では頭蓋内脳波を行った。
- 全例でMRI病変を含む後部皮質が切除された。
- 瘢痕脳回は一側性が4例、両側性が6例であった。
- 術後2年以上(2-12年)の追跡がなされ、10例中の7例で発作が消失した。
- 頭蓋内脳波での発作起始域を完全には切除しなかった4例中の3例で発作が消失した。また、病変が両側性であった6例中4例で発作が消失した。
- 術後の長期発作転帰は良好であり、MRIでみられる病変の切除が重要と考えられた。両側性の病変での手術適応から除外すべきではないと考えられた。頭蓋内脳波の意義は限定的と考えられた。
- 瘢痕脳回を伴う後部皮質てんかんは、「手術でよくなる症候群:surgically remediable syndrome」といえるのではないかと考えられる。
2. 研究の背景
- 瘢痕脳回に起因する難治てんかんの外科治療の報告は本報告以前にはみられない。
- 瘢痕脳回に起因する難治な後部皮質てんかんに対する外科治療を行い、良好な長期発作転帰を得た。
- 瘢痕脳回に起因する後部皮質てんかんは、手術でよくなるてんかん症候群と考えられた。
- 瘢痕脳回に起因する後部皮質てんかんの臨床特徴、検査所見、外科戦略を後方視的に検討した。
3-1. 結果:臨床特徴
- 10例中の9例では仮死や遷延分娩などの周産期の困難さの既往を有していた。
- てんかん発症年齢は1例を除き5-11歳であった。
- 3例では術前から視野の欠損を認めた。
- 瘢痕脳回は4例では一側性、6例では両側性であった。
- 大半の症例で、病変は後大脳動脈領域あるいは中大脳動脈と後大脳動脈の分水嶺領域に認められた。
3-2. 結果:外科治療
- 頭蓋内脳波を行った5例中の4例では発作起始域は病変外に認められた。
- 術後の追跡期間は2-12年(平均6年)
- 術後の発作転帰はEngelのclass I(発作消失)が10例中の7例、class III(有意な改善)が3例であった。
- 頭蓋内脳波での発作起始域が完全には切除されなかった4例中3例で発作が消失した。
- 両側性に病変がみられた6例中4例で発作が消失した。
- 術後の神経心理学的検査で悪化はみられなかった。
- 術後の視野欠損は中長期的にはADLを阻害するものではなかった。
4. 研究で明らかになったこと
- 瘢痕脳回は後部皮質てんかんの主要な病因のひとつである。
- てんかん外科手術後の長期の発作転帰は良好であった。
- 病変の切除が発作消失を得る上で重要である。
- 病変が両側性であっても手術適応から除外すべきではない。
- 頭蓋内脳波の有用性は限定的と考えられる。
- 瘢痕脳回を伴う後部皮質てんかんは、「手術でよくなる症候群:surgically remediable syndrome」といえるのではないかと考えられる。
5. 特記事項