てんかんの診断・検査

てんかんの診断には、全身状態や神経学的な診察とともに、なによりも正確な問診が必要です。発作が診察室でおこることは極めて稀ですので、医師は発作を目にすることができません。どのような発作であるのかを、患者さん自身や付き添いの人、目撃した人の証言から再構成しなければなりません。そのため診察時には、症状を思い浮かべることができる程度にまで、いろいろな情報を重ねていきます。またもしかすると、患者さんも周囲の人も気づかない発作があるかもしれません。

したがって、診察のときには、できるだけ多くの情報をもってきていただくのがとても大切です。最近は、携帯で動画を撮ることも簡単にできます。以前のメモや日記、診断書、お薬手帳なども持ってきていただくと参考になります。

診察の次には検査です。もっとも重要な検査は脳波です。脳波でてんかんに特徴的な所見がみつかると、診断に結びつきます。この検査の詳細についてはこちらをご覧ください。
次に画像検査を行います。通常は脳の形態がよくわかるMRI検査が行われますが、しばらくじっとしていることが難しい場合にはCT検査を行います。この検査の詳細についてはこちらをご覧ください。画像検査により、てんかんの原因を精査します。

さらに、一般的な血液検査を行い、全身状態に問題がないか、副作用の徴候がないか、病気の原因に結びつく所見がないかを確認します。

はじめて当院を受診されたときには、まず上記の診察・検査を行います。

さらに詳しい検査が必要な場合には、入院していただいて精査を行います。入院では、必要に応じて

  • さらに詳しい脳波検査:時間を延長した脳波検査(長時間脳波検査)がもっともよく行われます。これは脳波で得られる情報をさらに精度高く集めるため、ときには発作の情報を集めるために行われます。特殊電極を用いた脳波検査を行うこともあります。
  • さらに詳しい画像検査:種々の撮影方法での MRI や CT検査、脳の血管の走行をみる血管撮影検査、脳の血流状態をみる SPECT検査、代謝の状態をみる PET 検査などを行います。
  • さらに詳しい生理検査:刺激に対する脳の反応の仕方をみる誘発電位検査、脳波でわからない部分を調べることもできる脳磁図検査(現在休止中)、あるいは心臓の働きをみる心電図検査、筋肉の検査(筋電図)などを行います。
  • さらに詳しい体液検査:血液や尿、あるいは髄液などで得られる種々の情報(代謝状態、栄養状態、特定の物質の過不足、ホルモンの検査、免疫の状態、染色体や遺伝子の変異など)を探すこともあります。
  • その他の検査:脳の働きを調べる神経心理検査、身体機能や生活に必要な動作やスキルの検査を行うことがあります。

このような種々の検査所見に基づいて、正確に診断し、治療を含めた今後の指針を作成します。